糖質・脂質制限ダイエットをオススメしないこれだけの理由

ダイエット経験のある方なら、「糖質制限」または「脂質制限」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。

制限ダイエットは、短期間で非常に効果が出やすいダイエット方法。
即効性を求める人には最適のダイエット法なのですが、一歩間違えば身体に危険を及ぼすことも!

糖質・脂質制限ダイエットについて、ホリデイスポーツクラブの管理栄養士・AYAが解説します。

目次

制限ダイエットが流行った理由

なぜ「糖質制限」や「脂質制限」というダイエットが流行しているのでしょう?
まずはその起源について説明していきます。

戦後、日本は高度経済成長期頃から、徐々に肥満の人が増加しています。
この時代から、それまでの日本にはなかったたくさんの食物が入って来るようになりました。
生活習慣病(当時は成人病と呼ばれていました)と呼ばれる病気が増えたのもこの頃です。

24 時間 365 日、食べ物が手に入る時代になり「食べ過ぎ」「摂りすぎ」の人が増えました。これによって、初めに「カロリー制限」という考え方が出てきます。

大前提として、人間は消費カロリーより摂取カロリーの方が多いと太りますよね。

摂取カロリー・消費カロリーと体重の増減を表した図

人間は太ることで身体に脂肪がつきます。身体に脂肪がつくなら、単純にカロリーを減らして脂質を減らせばいいんだという考え方が広がったのが「脂質制限」です。

1g あたりの三大栄養素のカロリーをご存知ですか?
糖質とタンパク質は4kcalなのに比べ、脂質は なんと9kcal
脂質を減らすことで、効率良くカロリー制限をすることができます。

ところが、脂質を制限するために肉の消費量が減ると、タンパク質も不足状態に。
空腹が続いてしまうので結果的に炭水化物を多く摂ってしまい、太る人が増えてきました。

ここで言われ出したのが、今度は糖質(食物繊維を除く炭水化物)の摂取量を減らす「糖質制限」という考え方です。

糖質・脂質を取りすぎるとなぜ太る?

では、なぜ糖質・脂質を摂りすぎると肥満になってしまうのでしょう。
体脂肪の原因は「糖質」「脂質」の両方にあります。
糖質・脂質のエネルギー分解から脂肪になるまでの流れを、簡単に説明します。

【糖質の場合】
糖質はブドウ糖に分解されて、エネルギー消費が起こります。

エネルギー消費として使われなくなったブドウ糖は筋肉や肝臓に貯蔵されますが、そのふたつに貯蔵できない余った分は、インスリンの働きで中性脂肪となって肥満細胞に貯蔵されます。

糖質は比較的脂質よりもエネルギーとして取り出しやすいため、脂質よりもエネルギー消費はされやすいですが、摂りすぎると脂肪になってしまいます。

糖が脂肪になるまで

【脂質の場合】
脂質は脂肪酸に分解されてエネルギー消費が起こります。
エネルギー消費として使われなかった分は、脂肪細胞に貯蔵されます。

同じ重量で糖質の 2倍ものエネルギーを蓄えることができる脂質は、エネルギーの貯蔵に向いているため、積極的に身体は脂質を体内に蓄えようとします。

脂質の摂取量が多いと中性脂肪になることを表した図

糖質制限ダイエットの仕組み

「糖質」とは、炭水化物の一部。
炭水化物は、糖質と食物繊維に分けることができます。
つまり、炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質です。

糖質制限ダイエットとは、高タンパク・高脂質な食事でエネルギーを作り、炭水化物を極端にカットした食事ダイエット法です。

糖質制限をすると、身体の中でどういった反応が起こるかを詳しく説明していきます。

糖質のエネルギー変換をあらわした図

普段は、血中にある糖質のエネルギーが効率良く使いやすいため、主に身体の中で使っています。これが第1回路です。

血中の糖質が枯渇するとスイッチが変わり、筋肉や肝臓に貯蔵されている糖質(乳酸・アミノ酸)をエネルギーとして使い始めます。これが第2回路です。

体内の糖質が枯渇すると、さらにスイッチが切り替わり、脂肪やケトン体といった脂質系の使いにくいエネルギーが使われるようになります。これが第3回路です。

脂質系のエネルギーは糖質よりも長い過程を経てエネルギーとなるため、この第3回路は糖質が枯渇しなければ動きません。
糖質を制限することで、体脂肪をエネルギーとして使ってくれる第3回路がメインで働くようになってくれるため、効率よく体脂肪を燃やせるというわけです。

炭水化物のエネルギー源がないのなら、体の中の脂肪をどんどん主なエネルギー源として使おう!ということですね。

糖質制限で選ぶ食材・避ける食材

糖質制限ダイエット中は、糖質量の少ないものをメインで食べていきます。

「野菜・きのこ類」「卵・乳製品」「大豆食品」「肉・魚」は積極的に摂取しましょう。

また、糖質量が多いものは、基本的に控えてください。
糖質量が多い食材はこちら↓↓

【糖質量が多い食べ物】
・ご飯、麺類、パスタ、パンなどの炭水化物
・スイーツ、スナック、お菓子類全般
・くだもの全般
・糖質の多い根菜(れんこん、かぼちゃ、にんじん、玉ねぎ等)、イモ類
・小麦粉を含む加工食品
・糖質を含む調味料 (砂糖、みりん、ケチャップ、ソース、市販のドレッシング等)
・牛乳、ヨーグルト (乳糖を含むため)
・ドライフルーツ
・市販の野菜ジュース、フルーツジュース、人工甘味料入りの飲料全般
・ビール、日本酒、梅酒、紹興酒などの醸造酒。酎ハイやカクテルなど甘いアルコール類

などは気を付けましょう。
ヘルシーに思える根菜など、意外と糖質が高いものも多いので注意が必要です。
食材の糖質量については、一度ざっと調べておくと良いですよ。

食品別糖質量のまとめ

糖質制限のメリット

次に糖質制限のメリット・デメリットについてみていきましょう。まずはメリットについてです。

糖質中毒状態を防ぐことができる

糖質を摂ると血糖値が上昇し、ドーパミンやセロトニンといった快楽ホルモンが脳に分泌されます。すると気分がハイになります。

反対に血糖値が下がると、逆に眠気やイライラといった症状に襲われ、脳が再び快楽を得るために「糖質を取れ」という指令を出します。

身体が必要としなくても、糖質を取ってしまうこの状態を「糖質中毒」といいます。糖質を抜くことで、この糖質中毒状態を防ぐことができ、食べ過ぎ・眠気・イライラなどを防ぐことができます。

満腹状態が続きやすい

糖質制限中の食事は、腹持ちの良い脂質とタンパク質がメインとなります。
満腹状態が続きやすくなるので、ストレスによる食べ過ぎを防ぐことができます。

短期間で体重が落ちやすい

個人差はありますが、1 日の摂取エネルギーが減り、体脂肪を燃やしやすい身体になるため、短期間で体重が落ちやすいです。

糖質制限のデメリット

続いて、糖質制限のデメリットもお伝えします。

筋肉が落ちやすい

脂肪細胞の分解だけでなく、筋肉細胞からの分解が起こるため、筋肉も落ちやすくなります。
筋肉量が減ると、体重は減りますが代謝も下がってしまいます。
太りやすい身体になり、リバウンドのリスクも上がるので、長期的に見た時には効率的とはいえません。

便秘になりやすい

肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質が主な主食になるため、食物繊維が不足しやすく便秘になりやすいのも難点です。

また、肉や魚などを毎食たくさん食べるとなると、コストも手間もかかります。短期的には良いですが、継続していくのは大変です。

脂質を多く摂るので、胃や腸に負担がかかる

脂質を多く取るため満腹感は得られますが、そのぶん胃がもたれた感覚にもなりやすいです。

また、本気で糖質制限をおこなうとPFC バランスが3:6:1 の食事になるため、おにぎり 1個分の炭水化物も取ることができません!
ごはんが好きな人にはつらいダイエット法です。

※PFCバランスとは:摂取したカロリーのうち、P=タンパク質・F=脂質・C=糖質をどんな割合で摂ったかを表したもの

ホルモンバランスを崩しやすい

短期間での体重減少により、女性の場合はホルモンバランスを崩しやすいのも難点です。

糖質制限ダイエットは、一時的に体重を落としたい“短期集中型ダイエット”をしたい人にはオススメかもしれません。
ただそのぶん、リバウンドが怖いダイエット法でもあります。
1人でおこなうのには、少し難しいダイエットです。

脂質制限ダイエットの仕組み

続いては、脂質制限について。

脂質は三大栄養素の一つであり、先ほども言ったように1gあたりのカロリーが 9kcal と高いため、少ない量で多くのエネルギーを産生できる栄養素です。

脂質を制限することで、効率よく摂取カロリーを減らすことができます。
脂質制限で脂質を極端に減らし、その分のエネルギーを炭水化物やタンパク質で補います。

上の糖質制限とは反対で、身体の中で使われやすい糖質を主なエネルギーとして使っていく方法です。

脂質制限で選ぶ食材・避ける食材

脂質制限をする際、食べた方がいいものと控えた方がいいものをまとめます。

肉で言うと、脂質が多いものは
サーロイン・バラ肉・ベーコン・ウインナーなど。
同じ肉でも、脂の少ない牛もも肉・牛ヒレ肉・鶏胸肉・ささみなどを選ぶようにしてください。
鶏皮は剥ぐだけで脂質を 30%カットできます。ダイエット中にオススメの調理法です。

スイーツでは、ショートケーキ・ドーナツ・レアチーズケーキなどは脂質が多いので避けましょう。
大福・みたらし団子などの和菓子は脂質が少ないので、甘いものが恋しい時には和菓子をチョイスしましょう。

鶏卵・低脂肪乳・無調整豆乳・食べる量に気をつければカッテージチーズなどもOK。

木綿豆腐・絹豆腐・納豆などの大豆製品はヘルシーで栄養満点なのでオススメですが、がんもどきや油揚げなどは脂質を多く含むので、食べる量に気を付けましょう。

調味料に関しては、ノンオイルドレッシングなどを使用すればOKです。

また、調理法にも注意!
揚げ物はもちろん、炒飯や焼きうどん、ミートスパゲティなど、油を使う料理には脂質が多く含まれます。食材だけでなく、調理法も忘れずにチェックしましょう。

食品別脂質量のまとめ

脂質制限のメリット

脂質制限についてもメリット・デメリットを順にみていきます。

筋肉分解が起こりにくい

1つ目のメリットは、エネルギー源となる炭水化物をしっかり摂取できるため、筋肉分解が起こりにくいこと。
筋肉量が減れば代謝が下がってしまうので、カロリーを消費しにくく太りやすい身体に。筋肉分解が起こりにくい脂質制限は、太りにくく痩せやすい身体づくりに最適です。

食べられるものが分かりやすい

油ものを控えればいいため、ダイエットをする上で何を食べて良いのかが分かりやすいのもポイント。
なかなか重い腰が上がらない人も、まずはカロリーが高い揚げ物やお菓子・ジュースなどを控えることからダイエットを始めてみましょう。

リバウンドしにくい

脂質だけを減らすため、糖質制限とは反対に体重減少が緩やかなぶん、リバウンドしにくいのも特徴です。

脂質の摂りすぎは肥満、そして生活習慣病を引き起こす恐れも。
普段から脂質の摂りすぎに注意することで、ダイエットだけでなく将来の健康維持にもつながります。健康的な食生活を意識していきましょう。

脂質制限のデメリット

続いて、脂質制限のデメリットについてみていきます。

肌が乾燥しやすい

脂分の摂取が減るため、肌や髪が乾燥しやすく、艶が減ってしまいがち。
元々乾燥が気になる人は、最初から脂質を極端に減らしすぎず、様子を見て実施していきましょう。

空腹を感じやすい

糖質は胃内停滞時間が少ないため、空腹感を感じやすいです。
そもそも脂っこいものを食べた後に胃もたれするのは、脂質の胃内停滞時間が長く、消化しにくいから。
空腹によりストレスを感じやすい人は、ドカ食いに走ってリバウンドしてしまう恐れも。徐々に脂質をカットしていくなど、脂質制限ダイエットを上手に進めていきましょう。

※胃内停滞時間とは、栄養素がどれだけ胃の中にいるのかを示した時間のこと。炭水化物:約30分~2時間、たんぱく質:約3,4時間、脂質:約6時間

短期間で痩せられない

脂質を制限する代わりに糖質をしっかり取る脂質制限は、脂肪がエネルギーとして使われにくいため、皮下脂肪を燃焼することが難しいのです。
短期間での結果を求めるなら、食事制限だけでなく、脂肪を燃焼するための運動を追加しましょう。

制限ダイエットをオススメしない理由

ここまで糖質・脂質制限ダイエットについて、詳しくみてきました。
制限ダイエットは、メリットとデメリットをしっかりと理解した上でおこなうことが大切です。

糖質制限・脂質制限、もちろんどちらのダイエットも、メリットはたくさんあります。
しかし、ホリデイスポーツクラブの管理栄養士としては、あまりオススメできません。
その理由は3つ。

①短期的には痩せられるかもしれないが、リバウンドしやすい

運動して、食事エネルギーをコントロールして、食事バランスまで心がけているのに体重が全く減らない! という場合には、制限ダイエットで一時的に体重を落とすことも必要かもしれません。
しかし、そういった制限食から普通食に戻していく過程も非常に難しく、専門家の知識も必要となります。

また、制限食を長く継続していくことは難しく、ストレスも溜まるため、リバウンドしてしまう人が非常に多いのが実情なのです。

②長い目で見て、健康な身体にはならない

私たちの身体の健康のために重要なのは、全ての栄養素をバランス良く摂ること。

車に例えると、ボディがタンパク質、エンジンが糖質、タイヤ(タイヤのオイル)が脂質といったように、どの栄養素が欠けても身体は健康的に機能しなくなります。

栄養素の摂取バランスについては、タンパク質=Protein、脂質=Fat、糖質(炭水化物)=Carbohydrate の摂取カロリーを表したPFCバランスを参考にしてみてください。
身体に無理のない範囲で、食べる量や時間帯などに気を付けてダイエットを進めていくのがおすすめです。

③個人差が大きく、体質によって合う・合わないがある

人によって顔つきや性格が違うのと同じように、1人ひとり体質は DNA 単位で違ってきます。
その人に合ったダイエット方法も様々です。

そのため、糖質・脂質制限で痩せられる人もいれば、そうでない人もいます
それどころか、体質に合わずに体調を崩してしまう場合すらあるので注意が必要です。

管理栄養士が伝える
ダイエット中の食事のポイント

制限ダイエットは0(ゼロ)にするのではなく、あくまで「減らす」という考え方。
合う・合わないがあるので、自分の身体に合ったダイエットのやり方や食事バランスを見つけていくことが大切です。
正しく理解して、自分の身体と相談しながら正しく実施しましょう。

最後に、糖質・脂質制限ダイエットをおこなう上で、意識したいポイントをお伝えしていきます。

糖質制限については、GI値を意識して摂取するよう心がけること

GI値とは、食後の血糖値が上がる速さを示した数値のこと。
GI値が高い食品は血糖値の上昇スピードが早く、インスリンの分泌が追いつかなくなってしまう「高GI食」。
糖質が高い食品は、高GI食に分類されるものが多いです。

糖質を全く取らないのは、健康のためにも絶対NGです!
そのぶん、ごはんを食べるなら白米よりもGI値の低い玄米を選ぶ、低GI食品から食べ始めるなど、食べ方を工夫してみて。
GI値を理解して、血糖値の上昇スピードをコントロールしながら食事を取るだけで、痩せやすい習慣を作ることができます。

脂質制限については、油の種類とバランスを意識して良質な油を選択すること。
現代人の食生活は、加工食品やインスタント食品など便利なものが増えたこともあり、知らず知らずのうちに油を取りすぎてしまいがち。
悪い油を減らし、良質な脂質を摂ることを心がけていくことが大切です。

食べない!ゼロにする!ではなく、糖質・脂質の摂取量を減らしながら、身体に良いものをバランス良く食べて、健康的にダイエットを進めていきましょう。

健康的なダイエットには運動!
ホリデイスポーツクラブへ

食事制限ダイエットについての解説と、オススメしない理由をまとめました。
食事を減らして短期間で痩せるのではなく、制限ダイエットの要素を取り入れながら健康的に体重を落とし、リバウンドせずにキープしていくことが理想的ですよね。

そのために必要不可欠なのが、運動です。
筋トレで筋肉量を増やして代謝を上げ、有酸素運動で脂肪を燃焼!
食事制限を身体に無理のない範囲で取り入れながら、日々の運動をプラスしましょう。

運動習慣を付けることで、代謝が上がって体重減少のスピードも速くなり、リバウンドのリスクも減らすことができます。
痩せやすく太りにくい身体を維持していくことができますよ。
また、身体を動かすことはストレス発散、安眠効果、冷え・むくみ・肩こりの解消など様々な効果が期待できます。
心身ともに健康な身体を維持していくためにも、運動がイチバン♪

全国100店舗以上を展開しているホリデイスポーツクラブでは、広い館内に有酸素マシンや筋トレマシン、広いスタジオ、プールにお風呂・サウナまで完備。
たくさんの選択肢の中から、目標に合わせてトレーニングや運動をチョイスして、自分のペースで運動を継続していくことができますよ。
運動初心者の人も、インストラクターがサポートするので大丈夫! 安心して運動習慣をスタートしてくださいね。

食事管理と運動を上手に組み合わせて、ホリデイで楽しく・健康的に、ダイエットを成功させましょう。

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